総括支配人 田邉勉インタビュー
若手町衆が古い町並みに息づく歴史と文化そして新しいガラス工芸で疲弊した長浜の街を元気に
平成元年に年間約10万人であった観光客は、現在、年間約200万人と20倍にまで成長しています。株式会社黒壁とガラス工房の取組について、教えていただけますか。
㈱黒壁がスタートしたのは22年前です。当時、お客さんのお買いものは、長浜の中心市街地の商店から、
郊外に進出してきた大型店へ移り、商店街はシャッター通りと化しました。そうした長浜の将来を憂い、
主に長浜青年会議所のメンバーが中心に長浜初のNPO「ながはま21市民会議」を立ち上げました。折しも
、商店街のシンボルとして愛されていたカトリック教会(元国立第百三十銀行 明治33年建設)の取壊しの計画が起こり、
その保存を目的に第三セクター「㈱黒壁」が設立され、黒壁運動がスタートした。
今でこそ「地域再生」「地域活性化」のモデルの様に言われていますが、当時必要に迫られてできたもので、結果的に地域再生に大きく貢献してきたのが実態ですね。また商店街が疲弊しきっていましたので、ただ建物を保存するだけでなく、そこから商店街に活力を生む「動態保存」の方法をメンバーが探しました。 先ずは、保存することにより、人が集まり、お金を使っていただくようにすることであり、それに見合う新事業を探りましたが、 最終的に初代の社長の発案された当地に全く無縁のガラス工芸・販売に決まりました。当時、社長が世界各地を訪問する折、 小さいガラス工房で製作されたガラスを販売している所は、どこも多くの女性客で賑わっていたことが所以です。
スタート当時、長浜に前述のとおり大手企業企業が進出したことで、お客さんを取られましたが、 私たちにはそれら大手企業と直接競合するだけの資本力はなく、大手に真似のできないことを探り、 当地の豊臣秀吉以来つづく歴史性とその間守られてきた「曳山まつり」を中心に継承されてきた文化の息づく古い町並みでガラス工芸を展開し、 より一層の文化性を追求した街づくりをして来ました。
現在、吹きガラスの工房に6名、ステンドグラスをはじめコールドガラス工房に5名の20代後半を中心とした若手の作家が在籍しています。 黒壁の一番の特徴は、コンパクトな空間の中で、様々なガラス技法を見ていただきながら、彼らのオリジナル作品を購入いただけることですね。
設立から10年ほどで、黒壁の直営店13店舗が揃い、それまでシャッターの閉まっていた店がほぼ営業を再開しましたが、 江戸時代や明治時代の古い町家の建物をそのまま残し、店舗や美術館として活用されたことが、多くの人の目に留まり、 口伝えで広く紹介していただいたことがきっかけになって、現在に至っています。






